春風と共に

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  隣に立ち、薄緑の長い髪を風になびかせる少女は、ふとそんなことを思いながら苦笑を浮かべた。     「せっかくの誕生日なんだから、もうちょっと嬉しそうな顔しなさいよね。もう……」     今日誕生日を迎える当の本人は、全く興味がなさそう。   むしろ、嫌そうな顔をしている。   彼は毎年この日になると、普段の無愛想な顔をより一層不機嫌にするのだ。   理由は分からない。     「……誕生日がなんだ。俺はどうでもいい。 ━━……むしろこの世から誕生日なんて日がなくなりゃいいのに」   「まぁたそんなことを…。 なくなる訳ないでしょ。 誕生日はその人が産まれた日を祝うんだから……」     少女はカイの言葉に、やれやれと眉を下げた。     「なら尚更いらねぇな。産まれた日を祝って何が楽しいんだか━━……」   「え~、楽しいじゃん。 プレゼント貰えるし~、好きなものいっぱい食べられるし~━━……」   「……もうちょい他に何かないのかよ……」     楽しそうに指折りしながら話す少年を見て、思わず溜め息が漏れた。     「何かって?」   「……もういい」     答えるのが面倒になって、カイは半ば強制的に話を中断させた。 続けるだけ無駄だろう。 どうせ食べ物の話を重点的にし始めるに違いない。                 ~†魑鴉人形†様より~ 【ルーラ】image=237747857.jpg
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