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「カイ?」
「……俺、もう帰るわ。
マーサが早く帰ってこいっつってたの忘れてた」
弓矢を肩に背負い背を向けたまま言うと、家に向かって歩き出した。
その後ろを二人が、
「ちょっと待ってよ~」
と言いながら追いかけてくる。
カイは二人がついてこられる程度の速さで、一人黙々と家へと向かって歩を進めた。
「━━……すまない。ちょっといいか?」
突然三人の背中に掛けられた声に、三人同時に振り返る。
どうやら自分達と同じくらいの少年のようだ。
詳しい年齢は、顔がフードで隠れているため判断出来ない。
その容姿にカイは眉を寄せた。
━━と、フードから覗いた少年の宝石のような深緑の瞳と、カイの紫暗の瞳が交差する。
思わず二人の動きはピタリと止まり、暫くお互いの目を見つめ続けた。
「あの……何か?」
突然動きが止まった二人を比べ見ながら、少女・ルーラが遠慮がちに口を開いた。
その声が聞こえているのかいないのか、二人の動きは変わらない。
先に口を開いたのは、フードを被った少年だった。
「お前━━……カイ、か?」
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