508人が本棚に入れています
本棚に追加
少年の言葉に、カイは微かに肩を揺らした。
そして眉を寄せると、少年を睨み付けた。
「……初対面のテメェが、何で俺の名前を知ってんだ」
「ちょっとやめなさいよ、カイ」
「五月蝿ぇ、お前ぇは黙ってろ。目障りだ」
いきなり喧嘩を売り始めたカイを、ルーラが慌てて鎮めようとする。
それを邪険にし酷い言葉を浴びせた。
そんなことをしても、ルーラは全く怯まないことくらい分かっているのに。
「初対面……ではない。」
少年の声にハッ、とすると、ルーラとほぼ同時に少年の方を見た。
相変わらず少年の表情は読めない。
━━……と、自分に視線が集まったのに気付いた少年は、自分の被っていたフードに手を掛け後ろに落とした。
「━━……っ!?」
その顔にカイは、思わず息を飲んだ。
彼だけではない。
ルーラもリフも、同時に息を飲んで少年の顔を見つめた。
━━……そう。
彼はカイと、瓜二つの顔をしていたからだ。
最初のコメントを投稿しよう!