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「はぁ…!?! 親父の組が解散――?!」
すっとんきょうな声を上げた青年は、その金髪を揺らしながら目の前にいる男性に掴みかかった。青年の凄い形相に気圧されるかのように言葉に詰まった男性は、しかし明確な返事を青年に返した。
瞬間項垂れる青年に、男性はしかし――と続ける。
「我々はそんなこと、承知したくありません。いくら雅人様の御命令であろうとも…――!」
その言葉にバッと顔を上げた青年は、少し落ち着いたかのように息を漏らした。
「親父の言うことは唐突過ぎて誰もついていけやしねェ。…だが、あいつは人に言われて考えを改めるほど弱い意志は持たねェぞ?」
重々しく頷く男性に、青年は困ったように頭を掻く。
「おいおい…――まさか、何も考えてねぇわけ…ない、よな…?」
そう呟いた途端顔を反らす男性に、青年は深く溜め息を吐いた。
「なあ、親父ーっ!」
和な雰囲気で統一された部屋で、青年が声を上げていた。その声に反応したのか、上質な紙でできた襖が一瞬で開く。
「お父さんと呼びなさいっっ!!」
現れた人物はそう叫びながら、ハンカチを噛んだ。丸刈りの頭には、なにかの傷跡が幾つも見られる。
中には銃痕のようなものもあったが、青年は気にせず、ただキモいと告げた。
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