木村佳祐

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  「万引き、困りますよ」 「……っ!」 最近、このコンビニでクリームパンの万引きが相次いでいるらしい。 防犯カメラを見るかぎり、盗んでいるのはどうやら女子高生一人。しかもどことなく俺の通っている高校の制服に似ている。 俺はここのアルバイトをしていて、その先輩と“万引き犯を捕まえたらジュース”という賭けをしているから、いつも適当にしている前だしも、周りを見渡してゆっくりした。 そしたら案の定、防犯カメラに映っていた女子が目の前に来た。俺を警戒しながら、速歩きで通り過ぎたとき、その女子の腹部に膨らみが見えた。 メタボとかそんなんじゃなく、かなり不自然に膨らんだそれは、万引きをした罪の塊に見える。 俺は万引き犯が店から出た瞬間、腕をつかんだ。ガリガリの、骨と皮だけの二の腕。 振り向いた女子は、やっぱり、俺と同じ高校の制服を着ていた。  
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