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きりんの夢
大都市の動物園に大きなキリンがいた。
キリンは考える。
もしも本当に平行世界なんてものが有ったなら、私はどんな運命を辿っていたのだろう、と。
サバンナを優雅に駆け回っていたのか、他の動物園で細々と暮らしていたのか、はたまた密猟師に殺されていたのか。
それは誰も知りようがない事で、無論キリン自身も解せない。
後足に体を擦り寄せられ振り向くと、産まれたばかりの我が子がキラキラの大きな黒目でキリンを見つめ、その後ろには子供の父親が佇む。
キリンは子供の顔を優しく舐めると、この運命に流れ着いて本当に幸せだ、とこっそり思った。
[2007/5/3]
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