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「チエコ…前髪どうしたの!?あんなに『ぱっつん以外は邪道』とか言っていたのに!」
「………。」
彼女はだんまりでした。
僕が顔を近づけようとすると彼女は俯き加減にちらっとこっちを伺い、やっと小さくクチをあけました。
「君がぱっつんすきじゃないってきいたから…してみたんだけど…?」
「そ、そんな…。チエコは前髪はぱっつんじゃなきゃ絶対嫌ってあんなに言い張ってたじゃない…それなのに…。」
ああ
彼女の愛がヒシヒシと伝わります。
自分の長年のポリシーを捨ててまで僕を想ってくれるなんて。
僕ってなんて愛されているんだろう!!
そして君はなんてかわいくて、どこまでも乙女なんだろう。
「やっぱり似合わない?かな…。」
「似合わうよ!すごくかわいい!と思う。」
たしかにこれも似合う。
「でも…」
「?…なあに?でも?」
「チエコのあの前髪…すきだったな。」
「だってぱっつんの女の子嫌なんでしょ!」
「いや、うん。まあ、正直あまりタイプじゃないよ…でも…チエコのはすごく似合っていてかわいかったし…むしろ好きなんだ。だから…その…チエコは特別に、というか…。」
チエコ
うまく伝えられない口下手な僕を許してほしい。
でもなんとなく伝わってほしい。
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