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実羽「……ちなつ…?」
異変に気付いて足を止めてくれた実羽は――しばらく黙って私を見つめていた。
でも私が実羽を見返すことは出来ないから…彼女の表情はよくわからない。
些細な沈黙…。
その中で渦巻く、変な…懐かしい“過去”
千夏「……た…つなり…」
それが私にとっての、鍵。
心の扉の、鍵。
その名を口したので…私は崩れ始めた。
いろんな意味で…。
私は定まらない焦点をあちこちに向けて、何かを探す。
迷子の子供のように、
そわそわと…。
千夏「ど…どこな…の」
途切れ途切れ、言葉を発しながら私は手を伸ばして何かをつかみたいと願う。
でもその何かは、近くになんかない。
遠いとこに…
実羽「千夏っ!」
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