夢と序章

8/11
前へ
/85ページ
次へ
実羽「……ちなつ…?」 異変に気付いて足を止めてくれた実羽は――しばらく黙って私を見つめていた。 でも私が実羽を見返すことは出来ないから…彼女の表情はよくわからない。 些細な沈黙…。 その中で渦巻く、変な…懐かしい“過去” 千夏「……た…つなり…」 それが私にとっての、鍵。 心の扉の、鍵。 その名を口したので…私は崩れ始めた。 いろんな意味で…。 私は定まらない焦点をあちこちに向けて、何かを探す。 迷子の子供のように、 そわそわと…。 千夏「ど…どこな…の」 途切れ途切れ、言葉を発しながら私は手を伸ばして何かをつかみたいと願う。 でもその何かは、近くになんかない。 遠いとこに… 実羽「千夏っ!」
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加