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一人暮らしの部屋に鍵をしっかりとして太志は学校に走り出す。 「くそっ!間に合うか…?」 周りの風景が線に見えるなかを太志は全速力で走っている。 「ハァ…ハァ…ッ」 息を切らしながら必死で走ったお陰なのか、チャイムが鳴る前に学校の校門が見えてきた。 「よしっ!イケるっ!」 遅刻にならなくて済む。そう思った時だった。 キーン コーン カーン コーン…… チャイムの音は無情にも辺りに大きく響き渡る。 今まで全速力だった太志は急に力が抜けた反動で前のめりに転んでしまった。 「はーい 残念。…今日で通算25回目か」 「うげっ…鬼塚」 頭上から降りかかる声の主は生活指導の谷塚だ。 その厳しい指導ぶりから生徒からは鬼塚と呼ばれている。 遅刻したものには、一週間トイレ掃除や生徒会の書類整理。ほかにも宿題の量が倍になるなどの罰が待っている。 太志は数ある罰をもう三周くらいしている。 ここまでくると鬼塚も罰がもう思いつかないらしい。
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