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『ふむ……では、そのように手配を頼むよオーギュスト君』
GU本部棟、校長室。
校長の轟雷 風迅(ごうらい ふうじん)、教頭のオーギュスト・レオル、険しい顔つきの両名は深く溜め息を吐いた。
『かしこまりました。して、例の件はどのように致しますか?』
無いはずの頭髪を撫でるように頭を掻いた轟雷は、すっかり冷めてしまったハーブティーを一口すすり、再び険しい顔付きに変わる。
『ふむ……あれからあまりにも動きが無いからのぅ。どうしたものか。いっそ誤情報であればと何度も願ったが、さてはて』
『はははっ……校長ともあろう方が随分と弱気ですな。まぁ確かに私も頭が痛いですが』
『よもや、彼らがのぅ……強大な力を求める者が狂うのは、いつの時代も変わらぬと言うことか』
スッと立ち上がった轟雷はポットを手に取り、黒眼鏡をかけた長身の話相手へと勧める。
『いえ、もう結構です』
残念そうな轟雷を尻目に、オーギュストがテーブルに散らかった書類に手をかざすと、たちまち1枚のカードへと変化した。
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