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宝石のように光る星々の中に、一際輝きを放つ満月が浮かぶ―――
この日、グランディオス内部のゴーレムユニバーシティ(通称:GU)では盛大な祭りが開催されており、朝まで続くであろう熱気と興奮、GU全体が活気に溢れ、喧騒に包まれていた。
そのGUを一望できる山頂付近に、月明かりに照らされた者達が妖しく浮かび上がる。
『いよいよですわね……オラトリオ』
名を呼ばれた細身の男が、口元を吊り上げた気味の悪い笑みを浮かべ、狂気じみた眼差しを眼下に広がる灯りへと向ける。
『……奴の動向が気になる所だが、この地に居ないのであれば何の問題もない。そうだろう?セレナーデ』
先程、オラトリオの名を呼んだ女性が静かに頷く。
『感づかれたのは流石と言うべきだが……ふんっ、まぁいい。予定通りに日の出とともに開始だ。ぬかるなよ?セレナーデ、コンツェルト、ノクターン』
一瞬、月に雲が被さり暗闇を作り出した時。
【5つの影】がその場から消えるように動き出した―――
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