矛盾の綺麗さと殺人の美的さ

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突然、双山の携帯電話が振動した、電話がかかってきたようである。 携帯電話を取り出して、モニターを見た、電話はどうやら竹内由麻からのようだ。 通話ボタンを押して、電話に出る。竹内由麻の高い声が聞こえてきた。 「何?どうしたの?」 「今って一人?」明るい口調である。 「いや、村崎と居るけど…」 「ご飯食べに行かない?」由麻の声が少し低くなった。 「ちょっと待って」双山は身体を村崎に向けた。 「おい、村崎」 「聞こえたよ」 「飯食いに行こうってさ」 「竹内が?」村崎は顔を上げた。 「竹内が」 「別にいいよ」 双山は、さっきは渋ったくせに、とは言わない。 「わかった、村崎も行くってさ、今どこ?」 「大学の西口」心なしか、彼女の声は段々と低くなっている。 「わかった今から行くよ、十分くらいかな、待ってて」 「わかった」 電話がきれた。 村崎を見る、彼は手に持っていた本を本棚に戻した、その時に彼が読んでいた本の背表紙が見えた。[記憶媒体について]と書いてあった、双山にはまるで何のことかわからない。 「飯ってどこだろう?」双山は村崎に疑問をぶつけてみた、しかし、村崎が質問に答えるのと無視する割合は2:8なので、ほんの僅かな期待しかない。 「ファミレスだと思う」村崎が答えた。 まさかの、割合の逆転だったので、双山は驚いた。
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