矛盾の綺麗さと殺人の美的さ

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5 双山、竹内、村崎の三人は村崎の運転する車で、大学の一番近くのファミレスに向かった。 ファミレスの駐車場に車を停め店内に入る、店内は比較的に空いていて、一番奥にあるテーブルに三人は座った。一方のシートに、双山と村崎が座り、もう一方に由麻が座った。 三人で世間話をしていると、ウェイトレスがメニューを持ってやってきた、三人はその場でオーダーして、ウェイトレスは持っていたメニューを持ったまま、奥へと戻っていった。 「瀬戸市の殺人についてだけどさ」由麻が意気揚々と喋りだした。 「何か凄い上機嫌だね」双山が口元を上げながら言った。 「兄が刑事だし、私もけっこう推理小説とか好きだし」由麻はテーブルに両肘をついて、顔の前で手を組んだ。 「じゃあ、君の推理を聞こうか」双山が言う。 「まぁ、推理というより、気になる事はあるんだよ」 「どんな?」村崎がいきなり、会話に参加してきた。 「えっとね、何で殺人犯は15年もたってから殺人を繰り返したのか、って事が気になる」 「15年も前ならもう時効が成立している」村崎が言う。 「そう、なんと、時効が成立したその日に殺人があったのだ、凄いでしょ」 双山は何が凄いのか、いまいち解らなかったが、とりあえず頷いた。
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