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「それは本当の事?」村崎が少し身を乗り出して尋ねた。
「うん、お兄ちゃんから聞いたもん」由麻が誇らしげに言う。
そこまで話した所で、ウェイトレスが料理を運んできた、ウェイトレスは辛そうに片手で料理をテーブルに並べた。双山がカレー、村崎が定食、由麻がサラダうどんを選んだ。
それからしばらくの間、三人は料理を食べるのに集中した。
「何で時効が成立してから殺人をしたんだと思う?」由麻が箸を立てて言う。「だって、もう捕まる心配はないわけでしょう?」
「いろんな可能性はある」村崎は食事を中断して喋る。「まず一つは犯人が違うかもしれない」
「でも、何でそんな事するの、わざわざ心臓までとってるんだよ?」彼女はそこで、サラダうどんのサラダを食べる、枯葉を踏んでいるような音がした。
「竹内、食事中」双山が釘を刺す。
「ごめんなさい」彼女は舌を少し出して頭を下げた。
「そういう行為を真似して別の人間が殺人を犯すのは、自分の犯罪を本物の殺人犯に被せたりするためにやるんだ」村崎が言った。今日の彼は上機嫌のようである。
「でも時効なんだから、そんな事しても意味ないんじゃない?」由麻が言った。彼女は既にサラダうどんを平らげていた。
「矛盾してるね」双山が発言する。彼もカレーを平らげた。
「綺麗な矛盾だ」村崎が言った。
双山も由麻も村崎を見た。しかし、彼は自分の料理を必死に食べていて、顔を上げなかった。
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