22人が本棚に入れています
本棚に追加
7
竹内由麻が座っているベンチに、二人の男が向かってきた。双山と村崎である。彼女は手を振って迎えた。
「人前で手を振るのはやめてほしいなぁ」双山が周りを見渡して言った。
「何で?」由麻がきょとんとした顔で言う。
「目立つ」村崎が言った。「別の言い方で言うと、恥ずかしい」
「だから、何で?」
「何か用?」双山が煙草を取り出しながら言う。「飯なら僕達はもう食べたよ」
「私はご飯いらないから」
「へぇ、ダイエット?」双山は煙草に火をつける。
「違いますう、内臓の写真が頭から離れないからなのよ」由麻は口を尖らせる。
いつのまにか、村崎も煙草に火をつけていた。気配の無い男である。
「あのさ、瀬戸市の事件の事なんだけどさ」由麻は顔の横で両手を広げてみせた。そのジェスチャの意味はわからなかった、やった彼女自身もである。
「また、その話題?もう飽きちゃったなあ」双山が煙を吐きながら言う。
「何か新しい情報があるのか?」村崎が言った。
「うん、あるよ。これが。さて、はたして、何でしょうか!」
「もったいぶらないで早く言ったら?」双山が煙草を灰皿に捨てる。
「双山君は冷たいよう、しくしく」
「だから、何なの?」村崎が急かす。
最初のコメントを投稿しよう!