プロローグ

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*  2009年三月二日、午後十時二十五分、瀬戸市内で女性が死体となって発見された。  警察への通報者の説明によると、被害者は大量の出血をしており、発見時には既に息は無かったらしい。  愛知県警の刑事達は15年前の事件が時効を迎えてしまった、ある意味で記念的な日であり、捜査一課の刑事達は一日中、気分が悪い。  しかし、彼らが現場に足を踏み入れて、死体を目の当たりにした瞬間、余計な感情は一瞬にして掻き消され、目の前にあるオブジェのような死体を見て、息を飲んだ。  彼らの中の一人が、死体の近くまで近づき、膝を折って何かを確認している。  しばらくして、彼は立ち上がり、こちらを振り返って、震えた声で言った。 「心臓がなくなってる…」 彼らはお互いの目を見合せ、数秒の間、固まって動かなかった。
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