3年D組21番 萩原一騎

2/2
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
 式は滞りなく進行。  そして校長の祝辞が終わりに差し掛かったとき、会場の興奮は最高潮に達していた。 「とまぁ~、建前の挨拶はこのくらいにして、あまり焦らしてもつまらんからな。よしっ。てめぇら、準備はいいかっ。和気あいあい、爽やかな卒業式はここまでだっ」 「「「オォーーー」」」  校長の呼び掛けに、卒業生一同が雄叫びを上げる。 その様子に校長はニカっと笑って、俺たちにとって、最後にして最大のイベント。 『桜花学園バトル卒業式』の説明を開始した。 「てめぇら、よく聞け。ルールは今までと同じ。各自、卒業証書と一緒渡された紙に書いてある地点からゲームスタート。火気、刃物、魔術、その他もろもろの使用は全てOK。不意討ち、袋叩き、何でもあり。但し、殺しや過度なダメージを与えようとしたものは、監査先生の判断によって即退場。学園生活最後のバカ騒ぎ。存分に暴れてこい」 「「「ウォーーー」」」 沸き上がる歓声。  生徒たちの興奮が、この日最高潮に達した。  各々のスタート地点へ生徒たちが散っていく。 「おーい、一騎。どうした? まさか、怖じ気付いたのか」 「大丈夫。先生、今から行くところです」 「それでいい。頑張れよ、俺はお前が勝つのに賭けてんだから」 メチャクチャな声援に押され、俺は肩をすくめて立ち上がった。  そうだな、ここで俺自身の紹介をしておこう。  匠の技の結晶、武器の最高峰。《神楽》という銘の『日本刀』を腰に携えた、黒髪黒眼の俺の名は萩原一騎。  ばか騒ぎが大好きな、ただの卒業生だ
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!