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「それがさ……
僕デリケートだから水道水って受け付けないんだよね~……」
何様だこの野郎。
「じゃあ我慢だな……」
大体デリケートな身体なら断食なんて無謀な事しなければ良いんだ。
「我慢できねぇよー」
まるで子供の駄々だな……
「じゃあ寝とけよ……」
「ぐぅ……
それしかないか……」
相川は観念したように呟く。
とは言え空腹では寝るに寝れないようで耳障りな呻き声が偶に聞こえてくる。
「相川……」
俺は仕方なく相川に……
「あ、何?
やっぱり何かくれる気に……?」
「お前うるさい」
トドメの言葉を吐き捨てて睡眠に入る。
「あんた鬼っすねっ!」
非難の言葉が聞こえるが気にしない。
「そう言えばさ~」
空腹を紛らわす為が相川が積極的に俺に話を振ってくる。
「んー」
適当に返事。
俺は俺で逆に良い具合にウトウトしてる。
「昨日の『ハープーン』観た?」
『ハープーン』って言うのは最近人気のアニメの事だ。
軍の秘密兵器として『開発』されて育てられた人間が世界の真実を知り、逆に軍に立ち向かう戦争アニメと言う在り来たりな題材ながらもリアルな戦闘が視聴者の心をガッツリ掴んでいる。
俺もアニメやゲームは好きな方だからよく見てる事が多い番組でもある。
「観た……途中からだけど……」
昨日は少し問題があった。
その問題は今は関係無いからほっとくとして……
「良いよなぁ~
マルスみたいに俺にもあんな力が欲しいって思うよなっ」
相川……その希望を言うのは小学生くらいだと思うのだが……?
「手をかざしただけで車を止めて!」
相川が急に元気良く跳ね起きて勢い良く前に手を突き出す。
「で、轢かれそうになってる美人な女性を助けて!」
後ろを振り返る相川。
って言うかそこは美人限定なのか……
「『大丈夫ですか……お嬢さん……
何、礼には及びません……』」
完全に脳内は『ハープーン』の主人公になりきっているのだろう。
ご丁寧に声色まで変えて熱演している。
「なーんてさっ
もうそんな力あったらモテモテだよねっ」
そう満面の笑みで言う。
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