1135人が本棚に入れています
本棚に追加
葵はそう言うと、俺に向かって頭を下げてきた。
……こうされると、何か調子が狂うのは俺だけなのかな？
「とりあえず頭を上げろ、そしてどうするか一緒に考えてくれ」
「ん、ああ。そうだな、どちらかと言えばそっちの方が大事かもしれない」
しかし時と言うものは残酷で、この時には既に姉貴が階段を上がってくる足音が聞こえてきていたのだ。
俺と葵は焦りながらもどうするか考えたが、結局何も案が浮かばない間に部屋のドアが開いてしまった。
「終わったな、葵」
「ああ、西城。今まで世話になった……」
「何を言っているんだ？２人して」
「おかしな２人ですわね」
……あれ？ この声、この喋り方。姉貴ではない誰かだ。それも何やら聞くと嬉しくなるような……
そう思った俺と葵は、一斉にドアの方へと顔を向けた。
最初のコメントを投稿しよう！