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「…」
部屋の窓からの日の光で目が覚めた。
ふと、時計を見た。
表示されていた時刻は11時52分。
それを見ても、僕はまだ動こうとしない。
しかし、今日は土曜日でもなければ日曜日でもない。
ともすれば休日や祭日でもない。
だが、学校には行かない。
いや、行きたくない、と言った方が正しいのかもしれない。
「…」
脳裏に浮かぶのは暗いトンネル。
日の光さえ通さない瓦礫の山。
そして地面に流れ出る大量の血。
「…ッ」
どうしてあんなことになったのだろう。
何度も考え、何度、悔やんでもわからない。
「…美紀」
今は失われた僕の好きだった人。
わからない…
どうして!どうして!!
「うっ…」
頭に血が上り同時に吐き気がした。
「ゴホッ、ゴホッ…」
慌ててビニール袋を取り、吐くものを吐く。
「…」
口の中に胃液の苦みが広がり気持ちが悪くなった。
―アナタなんて信用しなきゃよかった。
―お前のこと、信用してたのによ、最悪だぜ。
繰り返し思い出すのは“あの事件”のことばかり。
数十名の乗ったバスを狙ったトンネル爆破事件。
意味のない、ただ犯人が快楽を得るためだけに起こった事件。
犯人はそのバスに乗っている一人の人間に電話で犯行予告をするといった行動をとることが特殊で、新聞にも何度も載っていた。
事件そのものは連続爆破事件として取り上げられ五回も犯行が行われていた。
しかし、五回の中でも事前の犯行予告のおかげで三回は失敗、二回は死者も出ず軽傷者が数名でただけだった。
あの時も六回目の犯行予告があった。
他の誰でもない、僕に…
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