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「…美紀だよ。同じクラスの天乃 美紀」
『………』
僕を除く全員が急に黙り込んだ。
「…天乃、ね。確かにあいつ、可愛いしな」
そんな中、最初に口を開いたのは意外にも三岡くんだった。
「まぁ、いいんじゃないか?」
「だよな。お似合いだと思うぞ?」
それに続いて他の二人も沈黙を破った。
けど、珍しく鍵は黙っている。
あれ?なにこの気まずい空気。
僕、なんかした?
どうしたのだろう?と僕が考えていると黙っていた鍵が
「くっ、まさかマジで答えるとは。…ハジメ、お前もなかなかやるな。この掛井 鍵斗、録音し忘れるなんて一生の不覚だったぜ」
とかなんとか言ってるけどそれは褒め言葉と受け取っていいの?
腹を抑えて笑いを堪えてるように見えるけど、褒め言葉でいいんだよねぇ!?
「もっ、もしかして皆、冗談で言ってたの?」
恐る恐る尋ねる。
すると、鍵以外の三人が僕から目を逸らす。
「そうか。皆、僕を騙したな!?ひどいよ!もう、こうなったら鍵も巻き込んでやる!鍵は正直に答えてよね!?」
「わかったよ、まったく」
鍵はそう言うと小さくため息を吐き、すくっと立ち上がった。
「俺が好きな奴はな―…」
ゴクリと僕や三岡くん、そのほかの二人も固唾を飲んで鍵の言葉を待つ。
そしてよく通る声で僕らにむかってこう言った。
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