13人が本棚に入れています
本棚に追加
いかにもヤクザ、という風に柄の悪い`おにーさん'が毎日毎日私の家まで押しかけてきては、家の前で怒鳴り散らした。
「おねーさあん、どうすんのー? あてあんのー?」
「おい、早くしろやあ! 俺らずーっと待ってんだけどー?」
扉を蹴ったり、庭をめちゃくちゃにしたり、もうやりたい放題。
ごめんね、パパ、私のせいで…。
生きなくちゃ。
私が死んだらパパに迷惑かかる…。
パパを残して死ねる訳ないよ…。
そんなある日、我慢できなくなった私はおずおずと外に出た。
薄暗い夕闇のなか、2人のヤクザが扉の外にいた。
そして階段をおりた門のそばにさらに1人、興味なさげに煙草をふかしている長身の男がいた。
「おっ、やっと出てきたな」
「お願い…必ず返すから。だから家の前で怒鳴らないでください…」
「あぁ?! おねーさん、ふざけんなや!」
やだっ…! 怖いっ……!
目の端で、煙草を吸っていた男がこちらを見たのが分かった。
最初のコメントを投稿しよう!