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「ん……やっ…」
むっとした蒸気がこもった暗い部屋に、私の声が響く。
「もう…やだ……」
もう、なにがなんだか分からない。
気持ちはいやなのに体は正直。絶対感じてなんて、みせたくないのに。
私が何をしたっていうの? なんでこんな男としなきゃいけないのよ?
いや…
私は空しさと共に天井を見上げた。
日本の天井より高い天井。
この国に来てまで…どうして。
ねぇ、誰か助けてよ…。
<ひとみ……>
…あの人の声が聞こえたような気がした。
途端、ぎゅっと心が痛くなる。この国にあの人がいるはずないのに。
「うっ……」
男が果てた。ようやく。
あぁ…あの人が私を呼ぶ声。
あの声が好きだった。
そんなときがあったなんて…。
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