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いつもより時間も手間もかけて作った料理をテーブルに並べて、俺――――橋爪基矢は一息ついた。 あいつの好きな料理ばかり。 見ているだけで、早く一緒に食べたくなって。 1年に1度の、俺の誕生日。 俺の誕生日に俺が、しかもあいつの好物を気合い入れて作るっていうのもなんだかおかしな気がするけど。 あいつは仕事が忙しいし。 「……しょうがない、よなぁ」 そう自分に言い聞かせないと暴走してしまいそうで。 今まで何度となく仕事を理由に約束をすっぽかされてきた。 でも、あいつが本当に忙しいことを俺は知ってるから。 少しでも疲れが取れるように、出来るだけ自然に受け入れて来た。 それに、あいつはどんなに忙しくても俺の誕生日だけは早く帰ってくる。 そして俺の作った料理と、あいつの買ってきた甘くないケーキをふたりで笑いながらつつくんだ。 1年のうちで一番楽しみな日。 そんなこと、あいつには絶対言わないけど。 笑われそうだし。
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