お城と夢

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城門は白いレンガに積み上げられ、そのレンガの壁に薔薇のツタが何本も覆っていた。 まさに御伽噺(おとぎばなし)に出てくる門である。 「凄いね……」 璃乙はポツリと、素直な感想を述べた。 プリンセスは、まあ、と驚き、くすくすと上品に笑い始めた。 「うふふ…嫌ですわ、璃乙。 まるで初めて見たかのように言うなんて」 「……? …え…でも、私は此処に来るの初めてだし………」 (あんなトラウマになりそうな場所に、二度行くほど、私の神経は図太くない…) 璃乙は戸惑いながら、プリンセスを見た。 しかし、プリンセスは 「フフフ……本当に璃乙は、冗談を言うのがお上手ですわね。」 と笑うだけだった。 「……」 璃乙は再び何か言おうと、口を開いたが、すぐに閉じた。 (多分、今、何言っても、冗談にとるだろうなぁ… 黙っておこう…) 「さあ、立ち話は、ここまでにして行きましょうか」 プリンセスは、にっこりと笑い再び歩きだした。
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