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静かな風が吹く草原で、黒く長い髪を上の方に一つに纏めて、白いトレーナーと薄い灰色のズボンを穿(は)いている十代中頃の一人の少女――璃乙(りお)が立っていた。
「……何処?」
暫く虚ろな目でゆっくりと辺りを見回してから、璃乙はポツリと呟いた。
「………………」
璃乙は何度も何度も記憶を巡らせたが、思い当たる節は無かった。
しかも頭に鈍い痛みが走ったので、取り敢えず思考を止めた。
「誰かに聞こうかな?」
璃乙はもう一度辺りを見回した。
「……ん…?」
先ほどは、璃乙の意識が虚ろだったので、気が付かなかったが、璃乙の周りには子供しか居なかった。
年は5~10辺りで子供達が楽しく遊んでいた。だが圧倒的に5~6歳あたりの子供のほうが多かった
。
「……仕方ないか…」
璃乙は肩をすくめた後、その中で一番年上であろう子供に話しかけた。
「あの……すいません」
(自分より年下に敬語は可笑しいかな)
璃乙は少し心の中で笑った。
「ん…?なんですか?」
話しかけられた子供は振り向く。
その子供は短い黒髪の、十代前後位の男の子だった。
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