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「あっそうだ、自己紹介まだだね。
あたし、マルン。
宜しくね、璃乙」
マルン、と名乗った少女は、笑うのを止めると、右手を差し出して握手を求める。
「あ、うん…宜しく」
璃乙は、まだ呆然としながら、その手を握った。
「あー…もう、ぼーっとしすぎだよ
ほら、立って立って、シャキッとする!」
「う、うん!!」
璃乙は、マルンの言葉通り立った後、背筋を伸ばした。
「よぉーし、それでよし!!」
その姿を見たマルンは、満足そうに頷く。
「はあ」
璃乙は、さっきまで泣いてた自分は何だったのだろう、とぼんやり思う。
「じゃ、行こうか」
急にマルンは、璃乙の手を引いて歩きだした。
「ど、何処に?!」
「地下の秘密基地!」
璃乙の質問に答えたマルンだが、地下って付けたら秘密の意味無いよね…、と璃乙は心でツッコまずにはいられなかった。
「それに、ここに居たら、すぐ見付かるよ。
ここら一帯は高飛車姫の領地だからね」
「!!」
マルンは何気無く言った事だが、璃乙にとっては青ざめるのに十分な言葉であった。
「じゃ、じゃあ早く行こう!」
「OK、OK
すぐ着くよ」
と言いながら、マルンは歩きだした
が、すぐに止まる。
「え、どうしたの?」
「…ちょっと遅すぎたみたい」
「へ…?
…っ!?」
マルンが睨む方向を見ると、璃乙は一気に青ざめて、言葉を失った。
璃乙達の前方には、血のりが付いた大剣を、持った可愛らしい笑顔のプリンセスと、その後ろに、我が身よりも大きくて重いであろうハンマーを、軽々と持ったお付きの者が30~50人ほど無表情で並んでいた。
「どこへ、お出掛けになるのかしら?」
プリンセスは笑顔のまま、ゆっくりと聞いてきた…。
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