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「これは、これは高飛車姫さま。物騒な物を持ってどうしたの?」
青ざめる璃乙とは正反対に、マルンはおどけた口調で会釈する。
「私が先に聞いているのよ、璃乙を何処に連れて行く気かしら
それに、私はプリンセスよ」
マルンのこの言動に、プリンセスから笑顔は消え、眉間に皺を寄せて厳しい口調で大剣をマルンに向ける。
「はいはい…
…お互いのする事に関与しないのが決まりじゃなかった?」
呼ばれ方の指摘を適当に返事をすると、マルンは向けられた大剣に身じろぎせず、プリンセスを睨んだまま淡々と答える。
「ええ、そうよね。
それが決まりならば、あなただって違反してるわよ?
私の計画には璃乙が必要なのよ、その璃乙を連れて行くなんて私の計画を妨害するのは、関わってるのと同じ事よ」
「ああ!女王様。
ついには、そんな被害妄想まで行きましたか、嘆かわしや嘆かわしや…」
プリンセスの訴えにマルンは、およよ、と両手で顔を隠して、泣く。
もちろん嘘泣きである。
「私はプリンセスよ…
…あなたは、いつもいつもいつも……この世界が出来た時から、ずっと私を悩ませる欠片ね…」
大剣を下ろしたプリンセスは、忌々しそうに呟く。
対してマルンは楽しそうに
「お褒め頂き、身に余る光栄です女王閣下」とスカートを摘んで、軽くお辞儀する。
「…っ!
『プリンセス』と呼びなさいと言った筈よ!!」
『女王閣下』の単語に逆上したプリンセスは、勢いよくマルンに斬りかかる
が、予想していたのか、マルンはポケットから素早く赤い縁取りのヨーヨーを取りだし、
ガキィッ
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