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―隣のクラスにて
『沙苗ちゃ~ん♪居る~?』
砂羽が大声で叫ぶ。
『そこまで叫ばなくても聞こえる、何か用?』
平然とやってきた女子。
至って普通だと思うその子の姿は、可愛い部類には入ると思うが、それ以外で特徴的なところはない。
「祐…この子普通だと思うのは俺だけか?」
俺は不思議だったために祐に小声で質問する。
『まぁ普通やわなぁ…彼氏さんが居らんのやから』
さも当然のように答えた祐に対して、ムッとしながらも“彼氏…ねぇ~”と軽く考えていたら、砂羽に引っ張られた。
『コイツ、佐藤 淕ってゆーの!幼馴染みなんだよ♪良ければ仲良くしてやって(笑)…一言挨拶なさい!』
何かと思えば紹介されたらしい、俺は軽く会釈しながら「よろしく」と呟く。
彼女は軽く会釈すると、祐にも軽く会釈した。
祐は「ども」と言い、名乗りはしないものの会釈を返す。
すると後ろから声が聞こえ振り向いた瞬間、お腹に痛みを感じた。
「い…って…なんだよ…」
俺はお腹を抱えてしゃがみこむと、ゆっくり声の主を見上げる。
『俺の沙苗に近づくな…気持の悪い…自分の顔を鏡で確認してから来やがれ、カスが』
突然現れた男子を睨んでいると、砂羽の前に居た女子…沙苗さんが目をハートの状態にして、その男子に近付くと…。
『ゆーすけ!何処行ってたのぉー?寂しかったよお~』
『悪かった…良い子で待ってられたか?そこのカスになんかされなかったか?』
『大丈夫だよぉー。そこの人は砂羽ちゃんの幼馴染みの人だってー!ゆーすけはホントに心配性なんだからぁ!』
先ほどの俺たちへの態度はどこへやら、甘ったるい声でゆーすけとか言う奴に抱きついた。
砂羽は普通にニヤニヤと眺めているだけだった。
俺はお腹の痛みを耐えながら、何故あんな事を言われなければならんのかを考えていた。
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