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『淕…大丈夫?』
砂羽が軽く笑いながら、声を掛けてきた。
その問いに「まぁ少し痛むが大丈夫」と返す。
俺は痛みを我慢しながら、ゆっくり身体を起こすと、沙苗さんがくっついてる男子を軽く睨んだ。
すると俺の視線に気付いたのか、「ゆーすけ」と呼ばれる男子がこっちを見た。
『なんだ…?俺に何か文句でもあんのか…?あー、そうか…可愛い沙苗と俺が羨ましいんだろ?沙苗は俺の女だから絶対に触らせねぇー…。が、沙苗関連ではないんなら話くらいなら聞くが?』
あくまで上から…そして、何回沙苗さんの名を言えば済むのやら…。
(名前出すのは一度で良いっつうの)
そんなことを考えながら、俺は「ゆーすけ」とやらに言う。
「文句…?山ほどあるわ、何故俺がお前に腹を殴られなければならんのか、そんで「自分の顔を鏡で確認してこい」と言われる筋合いはない、初対面だしな。」
沙苗さんの居る前だからなるべく、多く言わないようにすると、優介(いい加減変換しないと面倒…)は『ふ~ん…』と一言つぶやくと、沙苗さんに『ちょっと待ってて、カスと話ししてくるから』と頭を撫でながら言うと沙苗さんは素直にうなずいていた。
そして、優介が俺に近づいてきてこう言った。
『よく、殴ったってわかったね、お腹の位置なら蹴りでも有り得るのに…。初対面だからごちゃごちゃ言われる筋合いはないと言いたいんだろ?…お前は覚えてねぇーだろうが、俺はお前と面識はあるんだぜ?だから、言えたんだ。さすがにこの俺でも初対面に失礼な態度は取らないさ。』
俺はコイツの言葉に驚いた。
俺には全く会った記憶すらないのに、コイツは面識があると…言った。
全く覚えて…と言うより確実に初対面の人間にここまで悩まされるとは思わず、俺は優介に問うた。
「俺とお前どっかで会ったか?全く覚えてないんだが…。」
その言葉を聞いた瞬間、優介は目を見開き、凄い形相で睨みだし『本当に…覚えてないのか…?』と言ってきた。
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