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その日、雨が降っていた。それが私には、母の涙のように思えた。
祖父が亡くなった。父方ではあるが、母が嫁いで十七年。もう本当の家族だった。
私にとっては、初めて経験する親戚の死であった。
父方の祖父、清は祖母、晴子とともに田舎に住んでいた。
田舎は私たちの住む場所から、車で三時間くらいの所にある。
私と両親が、田舎へ向かう車中、母のすすり泣く声と、それを慰める父の声、そしてラジオから流れるよくわからない洋楽だけが聞こえていた。
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