嘘の絆。

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  ほんの少しだけ昔。   そう…まだ… 兄妹だった時の話。 親が生きてた時の。       私の両親は交通事故で… 2人一緒に消えちゃった。   相手がいない単独事故。 母親が運転して、 父親は隣に同乗してた…。   …今思えば、 父親なんて必要ない。   お兄ちゃんの方が、 本当の父親よりも… 『お父さん』 してくれてた気がする。     父親は定職どころか、 毎日…年中… 家に入り浸りだったし… いつも体からお酒の臭いがして… 口を開けば怒声と罵声。 お酒の勢いで暴れる事もあった。   私達家族に… 安らぐ温かな家庭なんかなかった…。   母親は、 私達の大黒柱。 その負担を軽くするのに… お兄ちゃんも働きだした。   私のお兄ちゃん… 成績も良くて、 運動神経も良くて、 お友達だって沢山いた。   男の子なんだから、 高校は行かせないと…って、 母に押し切られて進学したけど。   成績よりお金の都合で… 大学は断念して就職してくれて。   母親とお兄ちゃんに養われて、 私達は生きてきた。   母親にはとても感謝してます。   私とお兄ちゃんには… とても優しくて。   偽りの…だけど… 家族の為に… 一生懸命だったから。   それに、 私とお兄ちゃんを生んでくれた。   ありがとう。 お母さん。  
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