入学式

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「この高校の生徒の中には自らの性に悩む人がいます。私は、その人に対して、上からではなく、また無理解で接しない様頑張っていきたいと思います。」 入学生代表挨拶が終わった。虹の言葉をどれだけの女子が受け止めてくれたのか、琢磨は不安だった。 今日、性に対して悩みを持つ人が色々クローズアップされていて、周知はされるようになってはきている。 しかし、その多くがバラエティーを交えている為、真剣味が欠けていたり、意識改革につながらないような気がしていた(それを感じさせないような生き方をしているのだとも考えられなくはないのだが…)。 琢磨も含めた、みなし女子高生(男性の女子高生)は20人いるが、それぞれが女装に関して、考えている事が違うと言っていい。 その差は微妙な場合もあるが、人によっては一括りにできないのだ。 例えば琢磨の場合は、通学時から既に女装しているので、少し踏み込んでいる。 その一方で、合格前までは女装はコスプレくらいで皆無に近い人もいる。  だから、一人一人の状況に応じた付き合い方をしなければならなくなる。みなし女子高生はその点がものすごい敏感なのだ。  それを理解してもらうのにある程度の期間や覚悟は必要だろうと覚悟はしているが、できるだけ、早くしてほしい。そう思う彩衣であった。
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