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放課後、さっそく恵理から入学パーティをしないかと誘われたが、断った。
オネェ系キャラが苦手というのもあるが、先約がある。家で祝いをする事が決まっているのだ。
とはいえ、それは家族ではない。
彩衣は自宅通いではなかった。
春介が彩衣として、この高校に通うのに際して、春介の両親は条件を出した。
自宅通学は許さない。毎月の仕送りはするから、家を出ろという条件を。
要は世間体もあるし、そんな精神の奴と一緒に暮らしたくないからだろうと思った。
正直、かなり厳しい条件だった。しかし、それも虹が助けてくれたのだ。
春介の両親を説得し、高校から近い虹の祖母の家に住む事で了解を取り付けたのだ。
中学校の卒業式を終えると、春介は虹と一緒に虹の祖母である佐賀恵子の家へ挨拶に行った。
佐賀は、初対面にも関わらず、最初から春介を歓迎するモードだった。
2年前に旦那さんに先立たれ、以来一人暮らしだそうだ。虹の両親から同居の話も出たそうだが、佐賀は迷惑をかけたくないと拒否した。
佐賀は虹から既に経緯を聞いていたようだが、それに対して怪訝な顔を一切見せる事なく、
「さえちゃんと呼んでいいかい?」
「生活費とかは心配しなくていいよ。」
など、初めから気遣いをしてくれた。この祖母の性格にして、虹ありなのかもしれない。
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