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「どうかした?」やよいの悩み顔を見て、彩衣は聞いてきた。
「ううん、何でもない。ジュースいただきます。」
やよいはとりあえず思いを封じ込め、ジュースを一口飲んだ。
「やよい、ごめんやけど着替えてもいい?男物もあるし、やよいも着替えたら、どう?」
「別にいいよ、気にしなくて…私はこのままで」
素っ気なく答えてしまったので、しまったと思い、
「ごめん、気を悪くしないで…」
と言い直した。
彩衣は一瞬戸惑ったが、 「やよい!我慢やったら、なしにしよう!どれでも好きな服を着ていいよ。」
そう言われると、断れない。しかし、考え直してみれば、好都合かもしれない。彩衣に自分を知ってもらうためには…。
「何着てもええよ。おばあちゃんが揃えてくれたんや。あり過ぎやけどな。男物もあるし…」
「じゃあ、これにしていいかな。」
やよいは、ドット柄のワンピースを選んだ。
彩衣は驚いた。てっきり男物を選ぶのかと思ったからだ。
しかし、それを声に出す事はしなかった。
と少し考えている間に、やよいは、さっさと着替え終わっていた。
そういえば、やよいは体育の時も着替えるのが早い。彩衣もワンピースには手間どるのに…。
体格は彩衣とさほど変わらないので、ぴったりだった。
彩衣も着替えてしまうと、ベッドの上に腰掛けた。
「で、相談って何?」
彩衣が聞くと、やよいは一瞬哀しげな表情を見せた後、こう切り出した。
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