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「彩衣ちゃんは、どうしてスカート穿く様になったの?」
やよいが聞きたかったのは、彩衣が女の子の恰好をするようになった理由だったが、ストレートに言うのはどうかなと思ったので、暗に示す形で聞いてみた。
彩衣はやよいの質問に対し、困ったなぁと思った。
正直、うまく言い表す事はできないし、あまり語りたくはなかった。
だが、意を決してやってきたであろうやよいを突き放すのも忍びなかった。
「分かった。本当はあまり語りたくないんだけど、やよいちゃんだけ特別だよ。あたしの話がやよいちゃんの期待にはそえる自信は正直ないけど、それでも聞きたい?」
やよいは頷いた。
「私はいじめられっ子だったんだ。生まれつきの運動音痴をからかわれ続け、いやがられ続けてきた…。変に抵抗するから余計に面白がられた…」
「小学5年くらいからかな。自分が自分でいる事が嫌になり始めたのは…。当時は学校でのいじめ自殺が問題になっていた時期だった。でも、不思議にそこまではいかなかった。でも、男でいるのは疲れやストレスみたいなのを感じていた。本気じゃなかったと思うけど、はさみでちょん切りたいと思ったことも何度かあったし…」
やよいは言葉もなかった。彩衣の口から次々に語られる赤裸々な発言に…
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