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結果は合格だった。
それ以降は、嬉しさ半分、不安半分の毎日だった。そんな中で今日の入学式を迎えた。
(いつまでもここにとどまっているわけにはいかないしな…)
琢磨は意を決し、校門をくぐった。校内には既に多くの生徒がいたが、緊張の面持ちで校内をウロウロしている人もいれば、おしゃべりに花を咲かす人もいた。今のところ、琢磨の顔見知りは周りにはいないようだった。
すると、入学式にしては似つかわしくない大荷物を持った男子がぶつかってきた。
「す、すいません。」
「別にいいよ。気にせんでええよ。」
小柄な男子生徒がよたよたしながらその場を去る姿を見て、琢磨は思った。
「あれが普通だよな。俺は早いのかな…。」
会場へ向かう琢磨の姿は男子であれば、有り得ない姿であった。
胸はBカップくらいまで膨らんでおり、スラックスではなく、スカートを穿いていた。その他諸々…。まるで自分が女子高生であるかのように…。
琢磨が通うことになった高校は男子であっても、女子の制服を着用できる。
なぜなら、男子が女子高生として通うことを認めた高校だからである。
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