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琢磨は、通学から既に制服姿だったが、それは合格してからの3週間ほど、女子として通う為に訓練していたからだったというのもあり、比較的近い家から通っているからでもある。
何でそこまでの行動ができているのか、その答えは…まだ言えない。
その訓練に協力してくれたのが、今から入学生代表挨拶をする彼女だ。
「入学生代表挨拶、代表、浦川 虹。」
「はい。」元気の良い返事と共に虹はマイク前へ歩いて行く。
幼馴染みである虹は学年トップを中3の時は一度も譲らなかった。しかも、スポーツ万能、芸術分野などもそつなくこなし、美人でないところ(ブサイクではない)と性格がやんちゃなところを除けば、非の打ち所のない、ツワモノなのだ。
ちなみに虹は純女である。
虹の頭をもってすれば、もっと上位ランクの高校に行けただろうが、ここを選択した。
それは彼女が性同一性障害に関心があるからだった。興味本位などではなく、将来カウンセラーを目指す為に…
虹が琢磨の合格や合格後の訓練に協力したのも、そんな心の現れからだろう。
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