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練習期間もとうとう終わり、いよいよ体育祭本番を迎えようとしていた。
「わ、私っ、緊張してきたかもっ!」
「葵、なんか固まっちゃってる?あははっ」
如月は、左手で右手を握り締めるながら、ガッチガチに緊張していた。
それを見た竜ヶ崎はケラケラと笑うと、如月の背中をバシッと叩いた。
「なー、臣」
「……ん?何、拓斗」
「あれ、見てみ」
新羅の目先には、そろそろ開会式が始まると言うのに、ぐっすり眠っている平井がいた。
「……起こす?」
「いや、いいよ。これまで練習頑張って疲れたんだろ?楓の出る競技になったら起こしてやろーぜ」
にかっと笑う新羅に雅は一瞬驚いた顔をしたが、微かに微笑んだ。
「……なんか、優しくなったね」
「はっ!?気のせいだろ?」
「……そうだね。拓斗は、俺様だったね」
「?」
雅の意味深な言葉と笑みに、新羅は首を傾げたが、雅は気にしなくて良いよ、と言った。
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