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「なに?篠崎、って理事長の孫だったの?」
「篠崎先生、な。だから、今のはナシっつっただろ」
生徒の中でも一番食い付がよかったのは、新羅だった。
新羅は、篠崎の前に椅子を持って来ると、篠崎を見た。
「……何デスカ、新羅クン?」
「何?その喋り方…。…でも、何で理事長と苗字違うの?」
「……だから、今のは気にすんな、っつってんだろ?」
「先生、私も気になりますっ」
新羅のしつこい質問にうんざりした表情をした篠崎、おまけに如月まで新羅側に加わった。
「…わぁーったよ、話せばいーんだろ、話せば」
「分かってるじゃんっ、篠崎」
「先生を付けろ、先生を。はぁ…、俺は理事長の娘の子供な訳。だから、苗字が違う。分かった?」
「何だ、つまんない」
「人に聞いといて、つまんないとはなんだ、つまんないとは。失礼な」
「じゃあ、先生は理事長の後継ぐんですか?」
「継がねーよ。祖父の仕事は継がねーけど、親父の仕事は継ぐ」
「篠崎の親父って、何やってんの?」
「社長」
「えっ!?先生のお父さん、社長なんですかっ?」
新羅の質問にあっさりと簡単に答えた篠崎。
それに驚いたのは、如月だった。
「やけに驚くな…。如月は、違うのか?」
「えっ!?私の親は普通にサラリーマンですけど…?」
「俺の親はホテル経営してる、勿論社長!」
「…僕の親は大学の教授」
先生は、不思議な顔をして首を傾げ、新羅はニッと笑って言った。雅は、ボソッと。
その時だった…―
バァーンッ
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