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「……雅……さん?」
夢から覚め、虚ろ眼のままピントを合わせ前を見る。
其処に居たのはベッドの横から乗り出し俺の顔を見ている我が家のメイド──桐生 雅。俺がガキの頃からお世話になっていて唯一頭の上がらない人だ。
そして俺は、桐生 悠介だよな。桐生家の跡取りであり馬鹿両親からの放置プレイをうけたため、メイドである雅さんと暮らしている17歳の健全な男の子。
「はい。雅ですよ?」
俺の思考を中断する雅さんの声。まだ開ききらない眼で雅さんをボケーっと見詰める。容姿端麗、才色兼備とはまさにこの人の事を言うんだろう。それぐらい雅さんは美人だ。
雅さんの自慢の一つである黒髪は腰に届きそうな程のロングヘアー。此処まで髪を伸ばしているのに毛先は全く痛まないらしい。雅さん七不思議の一つだ。
そしてこの凛々しい顔。長く見つめていると吸い込まれてしまいそうな穢れの無い真っ黒な瞳。顔の一つ一つを形成するパーツは全てが小さめで、その一つ一つが美しい。
スタイルは文句なしの一発合格。いやらしい言い方になるが出る所はしっかりと出ており引っ込むべき所はしっかりと引っ込んでいる。
人間、顔やスタイルだけでは分からないとひねくれる奴もいるがそんな奴は一度雅さんと話をしてみるといい。自分の事は後回しにしてまで他人の事を優先するその優しさに感動して涙を流す事は間違いない。
「そんなに見詰められたら恥ずかしいです……」
ポッと雅さんの頬が朱色に染まり目線を反らされる。
目線を反らされたのは少し残念だが、うん。やっぱり雅さん可愛い。
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