2977人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
7月。
自分の誕生日、午前中会社を休んだ。
どうしてもやりたいことがあったから。
誕生日の朝。
1年以上連絡を取っていない両親に、電話をかけた。
「もしもし昴だけど、お父さんいる?」
「今変わるわ。」
わかってはいたが、1年ぶりに電話をかけた娘に、何か言うことはないのだろうか?
「なんだ、こんなに朝早く。」
「私今日で20歳になったの。で、戸籍抜こうと思って。一応伝えたから。」
「好きにしなさい。」
電話を切り、市役所に向かう。
手続きをとり、これで私は1人。
完全に親との関係が切れたんだ。
たったそれだけのことで、私の心は軽くなった。
午後出勤すると、恵菜が来た。
「珍しいね、昴が休み取るなんて。なんかあった?」
「ちょっと市役所に用があって。」
「市役所?」
「そう。20歳になったから、戸籍抜いたの。」
「そっか。昴今すごい明るいよ。」
「ありがとう。」
この日から、両親と関わることはなかった。
最初のコメントを投稿しよう!