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「昴ちゃんは、自分の名前嫌い?」
「え?」
そんな質問初めてだった。
この話しを聞くと、だいたいみんなこの話題には触れないようにする。
なのに、この人は踏み込んできた。
「別に、名前は嫌いじゃないです。」
そう答えると、高柳さんはクスッと笑った。
「名前は嫌いじゃないんだ。俺は昴って名前、綺麗な名前だと思うよ。」
大きな手で、頭をポンポンと撫でられた。
「ところで…昴ちゃんってピンク色嫌い?」
「別に嫌いじゃないですよ?なんですか、いきなり?」
「いや今日の服さ、その色でもいいんだけど、ピンクのが可愛かったんじゃないかって思って。」
なんだか照れくさくて、はにかんだ。
不思議な人だった。
そこに引かれたのかもしれない。
8歳も上には見えない外見。
低めの声と、優しい話し方。
軽い人だと思ったけど、めちゃくちゃ空気読める人みたいだし。
今まで会ったことのないタイプの人だった。
この人なら、なんでも話せた。
話してるときとても楽しくて、自然と笑みがこぼれた。
もっとこの人のこと、いろいろ知りたいと思った。
こんな気持ちは初めてで、これがきっと恋なんだと知る。
これが優人さんとの出会い。
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