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「すいません、お待たせいたしました。」
早速レジを打つ。
「あとタバコ頂戴、昴ちゃん。」
「はい、タバコですね。……」
昴ちゃん?
私はそれまで見ていなかった、お客さんの顔を見た。
「高柳さん!」
「優人でいいよ。昴ちゃん、こんなとこでバイトしてていいのぉ~?」
意地悪そうに笑う。
びっくりしてなにも言えなかった。
「昴ちゃん、バイト何時まで?」
「12時ですけど…。」
「そう。」
それだけ言って会計を済ませると、笑顔で手を振りながら店を出ていった。
それからバイトが終わるまで、頭は真っ白だった。
コンビニを出ると、優人さんがいた。
「お疲れ様。」
「待ってたんですか?」
「そんな身構えないでよ。夜遅いから、送って行こうと思ってね。イヤ?」
「イヤじゃないですけど…」
言葉を濁す私に近づく。
思わず、一歩引いてしまった。
優人さんは手を伸ばし、私の頭を撫でた。
「怖がらないで。心配しなくても、バイトのことは誰にも言わないよ。」
嘘だかホントだかわからない笑顔。
訝しげな目で優人を見つめる。
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