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「ホントに黙っててくれますか?」
「信用してよ。その代わり、今日は玄関まで送らせて。」
「それくらい構わないですけど。」
「じゃあ、行こう。体冷えちゃうよ。」
優斗さんに手を掴まれ、引っ張られるように歩き出す。
優人さんの手は、冷たかった。
9月末。
夜は冷え込むようになっていた。
「寒くなかったですか?」
「ちょっと寒かったかな。でも意地悪しちゃったからね。からかったつもりだったけど、昴ちゃん真に受けちゃうんだもん。」
「やっぱりバレると不安ですよ。」
「ごめんね。ところで、いつもこんな遅くに帰ってるの?」
「月木は。土日は朝5時からだから、行きが暗いときがあるくらいです。」
「朝は大丈夫にしても、夜中は危ないよ?」
「1年以上なにもなかったんで、大丈夫でしょ。」
「それは運が良かっただけ!ここらは駅に近いから、意外と物騒なんだよ?」
「はぁ。気をつけます。」
そんな会話をしていると、あっという間に家に着く。
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