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あれから1週間。
優人さんは現れなかった。
連絡先など聞いていなかったので、いつ来るかなんてわからなかった。
やっぱり社交辞令だったのだろうか?
そんなことを考えながらも、家で料理の本を読む自分がいた。
良さげな料理を見つけては、付箋を貼った。
人生ってなかなかうまくいかない。
現れて欲しいときは現れず、現れて欲しくないときに現れる。
あの時ほどそう思ったことはない。
いつ優人さんが来てもいいように、毎晩張り切って料理を作った。
なんとなく洋食のほうがお洒落かと思い、普段和食ばかり作る私が洋食を作る。
ハンバーグやらオムライスを。
でも優人さんは現れず、翌朝自分で食べることになる。
そんな生活を続けると、和食が恋しくなる。
優人さんも来ないし、と思いながら冷蔵庫を覗く。
中途半端に残ってる野菜に、豚の切り落とし肉。
しらたきないけど肉じゃがにしようと、材料を取り出した。
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