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「悪いね、気ぃ遣わせちゃって。」
「いいえ。テレビでも見て、くつろいでてくださいね。」
そう言って、キッチンに向かう。
鍋の蓋を開けて、味見をする。
具に味もしみて、出来上がりだ。
茶碗にご飯を入れ、器に肉じゃがを盛ってリビングへ。
「お待たせしました。」
「お!肉じゃがじゃん。いただきます。」
「どうぞ、召し上がれ。」
「うん、美味しい。いも柔らかく煮てあるし。」
「ホントですか?」
「ホントに美味しいよ。」
優人さんはそう言って、残さず食べてくれた。
なんだかそれが嬉しくて、人のために何かをする楽しみを初めて感じた。
そして誰かと食卓を囲む暖かさも、同時に知る。
両親とはほとんど一緒に食べなかったし、一緒に食べるのは苦痛だった。
1人暮らしを始め1人で食べる食事は、実家に居る頃より美味しく食べれた。
真矢たちと食べる食事は、賑やかで楽しかった。
でも優人さんと食べる食事は、楽しいだけじゃなかった。
なぜか暖かくて、心地良くて。
これが幸せなんだと感じた。
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