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「御馳走様でした。」
「はい、お粗末様でした。なにか飲みますか?」
「うん、お茶お願い。」
食器を片付けテーブル拭き、お茶を出した。
「どうぞ。」
「何から何までありがとね。」
「いえいえ。気のきいたもの出せなくて、すいません。」
「そんなことないよ。」
「そうですか?ホントはもっと手の込んだ料理を作るつもりだったんですよ?」
「どんな?」
「ハンバーグとか。煮込みやら、イタリアンやらいろいろあるし。」
「あぁ、なるほどね。そういうのも食べたいけど、意外に肉じゃがみたいな家庭料理のが嬉しかったりするんだよ?」
「そうなんですか?」
「うん。家庭の味って感じで、暖かいしね。でも昴ちゃんの作る、凝った料理も食べてみたいな。また食べさせてくれる?」
右手で私の髪を軽く掴み、笑顔で首を傾げた。
顔が火照り、鼓動が高鳴る。
優人さんの目から、視線を外せない。
私は目を見つめたまま、自然に溢れ出す笑顔で、
「私で良ければ、いつでも。」
と答えた。
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