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「ばっ…‥馬鹿言うんじゃねぇ。お前は無理だろ」
なのに、土方のこの返答。
沖田は予想もしなかった。
「何故ですか?私だって二人の仲間です」
否定する土方を真っ直ぐ見据え、沖田は言う。
今までだって一緒に稽古や悪戯、色々して来た。
なのに…‥
「それは総司、お前がよく解ってるだろ」
土方のその一言に沖田は俯く。
「私が…‥女だから…ですか」
ぽつり沖田が呟いた言葉。
それに土方は「そうだ」と頷いた。
沖田は俯いたまま悔しそうに唇を噛み、拳をぎゅっと握った。
今は結っていない長い黒髪が前に垂れ、沖田の表情を隠す。
女だから連れて行けない。
ただ性別が違うだけではないか。
「どうして女は駄目なんですか。剣の腕だってその辺の男には劣りません」
ばっと顔を上げ、沖田は土方さんを睨む。
男同然に育てられて来た。
強く、強く育てられて来た。
その事に不満はない。
(だってそれが私だから…)
剣にだって自信はある。
沖田のその視線に、土方は少したじろいだ。
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