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強い光を持ち、決意に満ち溢れている曇りのない瞳。
真っ直ぐ前を…自分を見据え、決して逸らさないその視線を真っ向から土方は受け止める。
「男と同様に育てられてきました。今更女を捨てることに躊躇いなどありません。だから…‥」
(だから私を、置いて行かないで)
「いいじゃないか」
必死に訴える沖田の頭に、近藤はぽんっと手をのせる。
顔を上げると近藤の優しい微笑みが目に入る。
「総司だって俺達の仲間だ。大切な…‥家族だ」
近藤の温かい言葉が、沖田の涙腺を緩め、沖田は嬉しそうに笑いながら涙を一筋流した。
「歳っ!?」
そんな二人を見ていた土方は勢い良く立ち上がると、部屋を出て行ってしまった。
その背中を沖田は見つめ、そして行動に出た。
夕陽が照らす川原に土方は一人佇む。
「土方さん」
そんな彼に、柔らかい声がかけられる。
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